低身長のこと、あなたはご存知ですか?について
低身長のホルモン治療は医療制度をかしこく使おう
低身長と診断された場合は、できるだけ早い治療開始が原則になります。
ホルモン治療は、成長ホルモン剤を在宅注射するという治療法です。低年齢から治療を開始しますから、注射に恐怖感を持つお子さんも多いと思います。
針は細くなり負担も軽減されてきてはいますが、精神的なサポートが必要になってきます。
軽症例では、小学校3、4年で治療を開始しても、平均身長に達する場合もありますが、重症例では、もっと早く、治療を開始するべきといえます。
そして、低身長に対するホルモン治療は骨年齢が男子17歳以上、女子15歳以上になると、治療効果がほぼなくなると考えられるので、治療を中止されることが多いようです。
この時期は骨端線が閉じてしまい、骨が成長する可能性がなくなるからです。ですから、20歳以上になってから骨を成長させようとしても無理なのです。
また、ホルモン治療によって充分に身長が伸びたと判断されると、途中で治療中止となることもあります。
低身長に対するホルモン治療は何年もかかる大変な治療です。しかし、年単位という長い治療期間をじっくり取り組んでこそ、大きな治療効果が期待できる治療なのです。
また、治療に対する理解はもちろん、医療保険の仕組みも知っておくことも必要でしょう。
低身長のホルモン治療に関係の深い医療制度をいくつかご紹介しておきます。
●「小児慢性特定疾患治療研究事業」
国が定めた疾患の中で、一定の基準を満たした方に適用される公的な医療費助成制度
「小児慢性特定疾患」の認定基準(成長ホルモン治療を受ける場合)
助成の対象となる終了基準・・身長 男子 : 156.4cm 女子 : 145.4cm
●「高額療養費」
「小児慢性特定疾患治療研究事業」の適用がない場合、一般に3割負担となる医療費を一定限度に抑えることができる制度
●「医療費控除」
1年間に支払った医療費の合計額が10万円を超えたとき、確定申告をすると、所得金額から一定の金額が差し引かれ
控除を受けた金額に応じて所得税が軽減されたり、収めすぎた税金が戻る(還付される)というものです。
ほかにも、成長ホルモンの治療に関わりの深い助成制度はいくつかありますから、これらを有効に活用していくことが治療をスムーズに進める大切なポイントといえます。
しかし、実際にホルモン治療の継続には大きな経済的負担がかかります。
医療だけではなく、様々な情報を知っておくこともホルモン治療をしていく上では、役立つことでしょう。
成長ホルモン分泌不全ってどうやって診断されるの?
「成長ホルモン分泌不全」というのは脳下垂体から成長ホルモンがあまり出ない、というもので、多くの場合下垂体の病気です。遺伝性は基本的にはないといわれています。
特に低身長が疑われる場合は、この成長ホルモンがきちんと分泌されているかどうかの成長ホルモン分泌負荷試験という検査をします。
まずは成長曲線を正確に描いてみる、手の骨のレントゲンを撮影して骨の成長をみる、尿中の成長ホルモンを調べる等のスクリーニング検査をします。
その結果成長ホルモン分泌不全の可能性がある場合は、その診断を確定するために成長ホルモン分泌負荷試験を行います。
■成長ホルモン分泌負荷試験とは・・・
薬を使ってあたかも夜間のように成長ホルモンが脳下垂体から出やすい状態にし、一定時間毎に採血をして血液中の成長ホルモンがどれくらい出ているかを確認する検査です。
■成長ホルモン分泌負荷試験の種類
1.アルギニン負荷試験
2.クロニジン負荷試験
3.L-DOPA負荷試験
4.インスリン負荷試験
5.グルカゴン負荷試験
この5種類の検査はいずれも成長ホルモンの分泌を刺激する薬を使って脳下垂体を刺激します。
成長ホルモンが分泌される脳下垂体を刺激しても、成長ホルモンが出ていない、又は少ない場合は成長ホルモン分泌不全性低身長症であると診断されます。
そして、成長ホルモン治療が開始されます。
成長ホルモン分泌不全のお子さんは、思春期が遅いので周りのみんなより遅れて思春期を迎えます。思春期を過ぎると骨端線が閉じてしまう場合が多いので、周りよりは遅れて身長の伸びは少し良くなります。
その時期には身長の伸びは少し良くなりますが、その時期までに標準身長とはかなりの差ができてしまっています。したがって、伸びる時期が遅れて来たとしても、標準身長には追いつかないのです。
成長ホルモン剤は試してみたいけど、高価&副作用が心配という方に!
成長ホルモンは、もともとからだにあるものです。名前から「成長」させる働きがあることは想像できますが、それだけでしょうか?
それだけではありません。身長を伸ばしてくれるのはもちろん、脂肪を分解してくれたり、血糖をあげたり、代謝を促進してくれたりする働きがあります。
筋肉増強やアンチエイジング(若返り)効果もあるといわれているホルモンです。
ですから、スポーツ界では、成長ホルモンの外部摂取(自分の体内から放出される成長ホルモン以外を注射によって摂取すること)は、ドーピング行為として禁止されています。
成長ホルモン剤は通常注射で投与します。費用は美容外科などで半年で約200万円といわれています。
また、最近ではスプレータイプで舌下に投与する成長ホルモン剤もでているようです。
しかし、さまざまな副作用があるともいわれていますので、自分で勝手に投与することはできません。
成長ホルモン剤は、医師の処方が必要になります。成長ホルモン剤を治療に使う場合、厳しい審査があります。からだの成長ホルモンが本当に足りないか、さまざまな検査をします。また、使う量、使う時期も厳重に決められています。
成長ホルモン剤を使ってみたいけれど副作用があるというし、こわい気もします。興味もわくと思いますが、安易にホルモン剤投与を考えるのは注意が必要です。
低身長はお子さんの成長曲線でチェック!ポイントは成長ホルモン
皆さんご存知のことですが、身長が高い人低い人、いろんな方がいます。
子供のころからいつも小さいなと感じる人もいますが、その程度では低身長とは言いません。
低身長は「SDスコア(標準偏値)」という数値で判断されます。SDとは標準偏差ともいい、平均値からどれだけ離れているかという「幅」を示します。
SDスコア=( 患者の身長?同性・同年齢の標準身長) ÷ 同性・同年齢の標準偏差(SD)
このSDスコアが?2.0SD以下の場合は低身長といわれます。同年齢の子どもが100人いたとすると約2人が-2SD以下になります。
また、今の身長が標準範囲内でも成長曲線が標準曲線をまたいで低下したり、上昇したりする場合は診察が必要です。
身長の伸びが悪い時も要注意。1年間の身長の伸びが4センチ以下の場合も低身長と呼ばれます。
毎日接している家族は気がつかないこともありますが、成長曲線をきちんと描いてみることで気づくこともあります。
母子手帳等で成長曲線を描いてみましょう。目で見るとわが子の成長がよく分かるはずです。
こちらで成長曲線がダウンロードできます。⇒http://ghw.pfizer.co.jp/gh/c_down/index.html
18歳までの成長曲線を書くことができますから、お子さんの成長をグラフで客観的にみることができますよ。
100人いたとすると2人だけしか治療の対象とならない低身長の治療は、狭き門といえます。しかも、その2人に関しても最終身長が男子の場合156.4cm、女子の場合145.4cm以上になると分かった時点で治療は中止されてしまうのです。
成長ホルモンの不足は治療できる!長期戦を上手に乗り切ろう
成長ホルモンが検査によって不足していると診断された場合、どのような治療がおこなわれるのでしょうか?
例えば、食事で不足している栄養素はサプリメントで補給することがありますよね。
成長ホルモンの治療も同様で、不足している成長ホルモンを継続的に補ってあげるという治療になります。
成長ホルモンによる治療は、就学前の6歳前後までに開始するのが望ましく、成長が止まる時期の高校生になってからでは遅すぎるので注意しましょう。
一般的には成長ホルモン製剤を注射で補います。在宅注射が認められていますから、現在は、ほとんどの場合、自宅で、自己注射を行っています。小さい子どもの場合は、親などの保護者が行なうのが一般的です。病院では、保護者に皮下注射の打ち方を最初に指導します。注射は通常、夜間に行います。
これは、成長ホルモンが、夜間睡眠中に多く分泌される点から考えて、生理的にも、いちばん適時とされているからです。
注射は、皮下注射です。注射できる場所は、臀部、大腿部、上腕部などです。親が子どもに注射をするときは、一般的には臀部(お尻)ですが、坐骨神経がある下部は避けたほうがよいでしょう。本人が自分自身で注射を打つときは、大腿部に打ちます。
針もインスリン注射のように細いものになってきていますから、痛みは軽減されます。
成長ホルモン治療は、小さい子供に注射をするという痛みを伴う治療で、かつ、短時間で終わる治療ではありません。
ホルモン注射に対する精神的サポートも必要で、家族全員が温かく見守ってあげることが大切です。母親が注射をしている場合でも、母子だけで治療を行うのではなく、父親も"がんばっているね"と声ぐらいはかけてあげてほしいですね。
また、成長ホルモン分泌検査の結果、問題がないとの事で現在治療は行わず様子を見ているという方もいらっしゃると思います。
そのような方はホルモン治療はできないので、歯がゆい思いを持っている方も少なからずいるでしょう。
